| タンニン鞣しの革は、硬く堅牢ですが、原皮が持っていた皺や傷が鞣した後も現れてしまいます。それが製品になった際にも表目に現れてしまいます。同じ行程を経て作られた製品でも微妙な色や柄?に違いが現れます。クローム鞣しの場合は皺や小傷がほとんど目立たなくなり、柔らかく軽い素材に出来上がり、手間も価格もタンニンなめしに比べて押さえる事ができます。
しかし、当店で取り扱っている革製品のほとんどは、タンニンなめしの革です。タンニンとは何なのか、そもそも「鞣し(なめし)」とはいったい何なのでしょうか。
文字で表すと「皮」と「革」が有ります。どちらも動物由来のものですが、「皮」とは加工する前の動物の皮です。「革」とは腐敗しないように加工をほどこした物を言います。
動 物の皮は強く柔軟性に富みますが、そのままの状態では腐敗したり板のように硬くなり、機能的に生活の道具としてはあまり役に立ちません。古代の人たちは皮を脂に浸けたり、煙で燻したり、草木の汁の中に浸けたりして硬くならず腐らない工夫をしていたのです。そしてその中で、最も発展したのが草木の汁に浸けるタンニン鞣しです。タンニン鞣しは皮そのものに含まれているコラーゲン(タンパク質)と植物の中に含まれているタンニン(渋)を結合させて鞣す方法ですが、草木の汁に浸けて鞣す方法は非常に時間と手間がかかった事だと思います。古代の人たちはタンニンのみを摘出する技術を知らなかったのです。
現代では、タンニン鞣しの他に、クローム鞣し、タンニンとクローム鞣しの良い部分を取った合成鞣しがあります。そして現代で最も普及しているのがクローム鞣しです。
革はそれぞれ鞣し方によって特徴が異なります。
クローム鞣しは、塩基性硫酸クローム塩を使用する方法で、原子同士の結合によりコラーゲン(タンパク質)を安定化させる方法で鞣しますので、タンニン鞣しと比べて短時間で鞣しが可能で、弾力が有り柔軟性、耐熱性に優れています。又、軽いことも現在最も利用されている理由でしょう。
タンニン鞣しはタンニンを含んでいる植物ならほとんど利用できますが、現在多く使われている植物は南アフリカ産のミモザや南米のケブラチヨ、欧州のチェストナットなどの樹木です。それぞれに特徴が有りますが、現代でもしっかりタンニンを含ませコラーゲンと結合させるためには非常に時間がかかります。 それぞれ単独で使用したり、混ぜ合わせたりして鞣しています。特徴は堅牢で伸縮性が少なく紫外線に当たると濃く変色します。
私たちがタンニン鞣しの革にこだわる理由は、まず革の強さ、革が丈夫なので糸が切れても修理して使うことが出来ます。そして使うほど味わいが増し、色艶が出て革の特徴が大きく出てきます。いわゆる風合いが良くなると言いましょうか、味が出ると言いましょうか、そのお陰で愛着が湧いてきます。愛着が湧く道具は永く使い続けたくなります。
又、クロム鞣しの革は、なめす時に排出される廃液なども環境問題を考慮する必要が有ります。現在では廃液は回収、再利用して総排出量を減らしている様ですが、元々金属性物質なので自然界にとってはあまりよろしくないと考えられます。
勿論タンニン鞣しも廃液が出ますが、同じく回収処理しているそうです。 ただ、できるだけ自然界に近いものを利用し、出来るだけ永く使用する方が、地球上の循環のシステムに合致する事になると考えています。
余談ですが、「革」の語原と、「皮」と「革」の違いはなんなのでしょう。
皮とは諸説有るそうですが、外側の側=外の「か」わ、とする説と、被るの「か」わ、から来ている説が有るそうです。
では、「革」とは何でしょうか、元々は象形文字で上の部分が頭で下の部分が尻尾との事です。皮をピンと伸ばした様から来ているのだそうです。よって「改革」「革命」など改めてピンと張って改めるなどの文字に使用されているそうです。
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